ジュニアの練習を保護者と一緒に観戦している時に、前回登場した左利きの彼の母親が「サーブをなんとかしないといけないんですよ。」と私とその周りの親たちにつぶやきました。母親も父親も経験者でもあり、しかもかなりの上級者であるので、なんとかする方法を模索しているとは思ってもいなかったため、とても新鮮に感じました。
こうなると私の頭の中は、いつものようにピンポイントでその事ばかり考え初めてしまいます。うまく行く時、うまくいかない時、初心者、上級者、低学年、高学年、子供と大人と、いろんな人のサーブばかり今日はみてしまっていました。 その中で、気がついた事は、とても繊細な事でありながら、再現性のあるものだとわかりました。
サーブがうまく入るパターンは、自分にラケットの軌道が近ずく過程でヒットします。一方で、しっくりこないサーブになる場合はヒットポイントが、自分から遠ざかる過程にある事がわかりました。
一番、わかりやすかったのは初心者のサービスです。初心者のラケットの軌道は、ラケットを引く際には、自分よりに引き、その後、どんどんラケットが自分から離れていきそこでヒットしています。これが経験者になると、ラケットを引く過程で一度、自分からラケットが離れ、そこから自分の体の方に向かってラケットが動き、ヒットする時は、体の近くをラケットが通過します。外から内の軌道と、内から外への軌道。これが一番大きな違いであることがわかりました。
この発見を通じて、ダブルスのショートサーブやロングサーブについても探りをいれてみると、似たような傾向があることがわかりました。ラケットの軌道自体はダブルスのサービスなのでコンパクトであまり大差はないのですが、ヒットポイントが自分の想定したヒットポイントかそれより若干前であれば、安定したサービスが打てる。しかし、想定したヒットポイントを通過してしまうと、ラケットは体から離れる軌道上に変わってしまうため、ミスが増えるようです。
これはショートサーブでもロングサーブでも同じような傾向があることがわかりました。とくにロングサーブの場合には、体からラケットが離れる過程でヒットすると浅くなったり方向が定まらないなどミスする確率が大幅にあがっていました。
私自身もここまでサーブの軌道について考えたことがなかったので、面白い発見をしたなと感じました。実際に、自分でもこれを意識してみたらサーブが安定するなと感じました。いろんなレベルの人が同じ場所で同じ行為を行う環境は研究するにはもってこいだなと感じました。
ちなみに、軌道上のどこで打つか以外にもう一つ発見がありました。それは初心者ほど、ヒットポイントが上であることです。両肩が平行になっていることが多いためこうなるようです。経験者になると利き手側の肩が下で、反対の肩が上がっている形になっています。初心者は、水平の円軌道。経験者は、螺旋軌道上でヒットする。こんなこともわかりました。なかなか面白い発見でした。ほんと体育館は宝の山ですね。