オリンピックの影響もあり、最近のジュニアのバドミントンに沢山の体験者が訪れています。ほとんどの子がシャトルを打ったことが無く、あったとしても遊び程度で体験に訪れます。そんな子達に楽しんでもらいながらも、打てるようにする工夫をあれこれ考えていた中で、一番効果があるのは、握り方や、振り方などではなく、打つタイミングを教えてあげることなんだとつかめてきました。
シャトルを手投げする際に、花火の打ち上げのように、ひゅ~~~~~どかんと。運動神経が成長している高学年の初心者であれば、打つ瞬間のどかんだけでも打てるようですが、低学年ともなるとひゅ~~~~が重要になってきます。投げたシャトルの高さも毎回毎回同じではないので、その間(ま)の取り方をひゅ~~~で表現してあげます。
いままでは空振りしてしまっていた子も、面白いようにシャトルを捕える感覚が身に付きました。もちろん、ラケットの握り方や振り方も大切なのですが、タイミングがずれていては、あたる事さえしないので、自分の成長を確認できません。当たるようになれば、自然とより遠くにより強くとの思いが湧きあがり、成長の芽を自分自身で伸ばすことができるようです。
天井の高さが異なる体育館で試合をすることも多いので、初心者のみならず、バドミントンプレーヤーはしっかり頭の中に、花火を打ち上げる感覚をつんでおくと良いなとも感じました。音は運動神経にダイレクトに影響を与えるものでもあります。しっかりリズムを整えて試合に挑んで欲しいなと思います。
また、初心者が最初のもう一つの壁といえば、サーブです。こちらも初めてサーブをする子達を眺めていて、いろいろ発見がありました。まず第一に、シャトルをつかんだらすぐに打ちたがる事です。特に、引手がみんな毎度バラバラであることが良くわかりました。
シャトルを離しラケットで打つ。こんな単純な動作であっても、多くの子が、ラケットのスタートポイントが毎度バラバラのようです。ラケットのスタートポイントからシャトルまでの軌道が毎度異なりますので、あたるものも当たりません。そこで、シャトルを持ったあとに、ラケットをスタートさせるポイントを固定して打ってもらいました。
体の斜め下後方にラケットをまずセットする。ここがスタートポイントで、振り終わったら耳の横にラケットヘッドがくるように、円軌道を描いてもらいました。シャトルはちゃんと見てれば当たるから振ってごらんと、やってみると、多くの子がしっかりサーブが出来るようになりました。
唯一できない子もいたので、どこがおかしいのか観察していると、シャトルのリリースに問題があることがわかりました。小学校1年生の女の子だったのですが、体が小さく、シャトルを離して打とうとすると、ラケットの棒のところにシャトルが落ちてきてしまうのです。腕が短いために、ラケットの軌道上にシャトルを落とせなかったのです。
高学年ではあまりおすすめはしないのですが、シャトルを外に投げてごらん。自分に近いところにシャトルが通っているから当たらないだけだよと伝えて打ってもらうと、5回中1回くらいあたるようになって「あたった!できた!」と大喜びしていました。もちろんシャトルを投げるので、投げ方によってヒットポイントを感覚で修正しないと当たらないので難しいのですが 短い腕ですから仕方がないのかなと思います。シングルスのロングサーブは腕の短い子には実に難しいものなんだなと改めて感じました。腕の長さが成長するまでは、バックハンドでも良いようにも思ってしまいました。高学年になってシャトルを投げてサーブする癖が治らなくなっても困りますからね。
いろんな初心者をみて、バドミントンを難しくしているのは、自分自身なんだと本当に思います。タイミングをしっかり意識しないから、ラケットの軌道を意識しないから、自分の体の特性を意識しないからと。バドミントンはシンプルなもの。そして簡単なスポーツ。公園でみんなが遊べるスポーツです。だからこそ繊細な部分にまで意識をもてた人だけが上手く強くなれるんだなと感じます。
運動神経の良い子ならそれを感覚でつかんでしまうのでしょうが、そんな子はそれほど多くはありませんし、運動能力の高い子であっても、繊細な意識をもてればさらに強くなれます。高学年の上級者には初心者へ単純に習った事を教えるのではなく、自分の中で意識している細かな感覚に近い部分を言葉で表現しながら教えてあげられるようになったら良いなと感じます。教えながらも自分の意識がより繊細になり、自分の練習の際に活きてきますからね。
初心者へ教えることは、自分の練習にならないように感じる人もいるでしょうが、それも意識を変えれば自分自身の上達のヒントが沢山転がっています。
ミッション「あの子がシャトルを奥まで返せるようにしてきなさい。しっかりお手本をみせ自分の言葉で説明しながら」こんな取り組みも面白いかもしれませんね。